ASEANこと、東南アジア諸国連合の存在感が高まっています。

中国とアメリカによる見南シナ海の外交駆け引きが世界中で報道されるにあたり、東南アジア諸国の親密度が際立って報じられてきました。ASEANは今後、EU(ヨーロッパ連合)のようにひとつの国家に準ずるものとして発展していくのでしょうか。

また、その定義とも言える、共通して使用できるお金(通貨)の導入も検討されているのでしょうか。

ASEANのこれまで

ASEANは東南アジア10か国による、経済・社会・政治・安全保障・文化に関する地域協力機構です。

本部はインドネシアのジャカルタに設置されています。ASEANを「ひとつの国」として見た場合、GDPは2013年で2兆4,104億ドル。世界7位の規模を持っている、と言われています。

1961年にタイ・フィリピン・マレーシアによる広域国家連合が母体となりました。

2015年現在の加盟国は上記3か国と本部のあるインドネシアを除くと、シンガポール・ブルネイ・ベトナム・ミャンマー・ラオス・カンボジアの10か国です。

ASEANの現在

(1)なぜ日本が参加しているの?

上記10か国に日本は含まれていません。ただ最新ニュースを見ていると、日本も首相や外務大臣がASEANの会議に参加して発言している様子が報じられています。これはどういうことでしょうか。

ASEANは拡大会議というものがあり、10か国が意思決定をするにあたり必要な国を招いて会議をする形式をとっています。日本のほか、アメリカや中華人民共和国、オーストラリアなど様々な国がこれまで呼ばれています。

(2)東南アジア各国の発展

よく、「ASEANはGDPベースで世界〇位」という言い方をされますが、インドネシアやフィリピン、シンガポールなどは目まぐるしい経済発展を遂げています。東南アジア諸国が日本から距離が近いことも手伝い、日本政府がインフラ(生活整備)を投資したり、民間企業による出資先になったり、ということが早い段階から行われてきました。

(3)旧宗主国との関係

ASEANの加盟諸国は、もともと「欧州の植民地」だったところが多いです。

1984年にイギリスから独立してASEANに加盟したブルネイなど、その傾向はつい30年前まで続きました。

旧宗主国は政治的に主導するとともに、経済的な出資の対象となりました。フィリピンは元々スペインが宗主国ですが、大きな街はスペインの「財閥」が主導して作り上げたと言われています。

通貨はあるの?

ASEANのように、大規模な広域国家集合体となると、「共通通貨」の必要性が唱えられる、と言われています。

実際EUには「ユーロ」という共通通貨があり、経済的な自由化を手助けしてきました。アメリカも連邦国家ですので、ドルは「共通通貨」と考えることもできます。

現在のところ、ASEANに「共通通貨」導入の流れはありません。ただ今年2015年11月、マレーシアのクアラルンプールでASEAN経済共同体(AEC)が発足したこともあり、経済的に、より統一性を高める動きにはシフトしているようです。今後、更なる関係強化が見込まれると言われています。

今後のASEAN

今回の記事の最初にあった「南シナ海問題」に触れてみましょう。

ベトナム東部・フィリピン西部の「南シナ海」は、軍事的にも漁業的にもとても重要な場所なのですが、現在この場所を中国・フィリピン・ベトナムなどが領海権を主張し合っています。特に最近中国が「人工島」の建設に着手したことも手伝い、この地域を巡る緊張感は一段と緊迫化しました。

フィリピンは政治的にアメリカと関係が深いこともあり、中国とアメリカのいがみ合いが続いています。

日本との関係

ASEAN諸国は、地図上の距離が近い日本との関係もとても親密です。

特に日本がこれから人口減少時代を迎えるにあたり、介護や福祉の面でノウハウを持ったASEAN諸国が日本の同産業の補完的役割になるのでは、という動きも期待されています。

また、フィリピンは英語圏で、「コールセンター」の誘致に力を入れています。日本を始め各国で高いニーズのある「英語圏のオペレーションセンタ―」を誘致することで経済発展を遂げてきました。

日本は今後40年で数千万人が減少すると言われています。この急激な人口減少と、少子高齢化により、ASEANのような「距離も近く、経済発展も目まぐるしい」国とどのように付き合っていくか、はとても重要な課題と言えます。

日本は「日本にほかの国の人々が入って生活すること」には、強いアレルギーを持つと言われています。

ただ、ASEANは日本から5―10時間で繋がる都市も多く、直行便も発展しています。今後も密接な経済関係を、期待していきたいものですね。

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