消費税の10%増税にともなう軽減税率の大枠組みが決まってきました。

一方今年の目玉だった相続税法改正についても、まもなく改正から1年を迎えます。そんな、増税基調にある現在の日本のなかで、唯一「減税方向」にあるのが会社にかかる税金である法人税。法人税の減税はなぜ進められるのでしょうか。

法人税とは

法人税とは、その名の通り「法人にかかる」税金です。

更に正確に言うと、法人の「儲け」にかかる税金ということができます。会社は1年間をかけて売上を確保し、そこから売上を得るための仕入、人件費、諸経費を引きます。ここから残ったのが「利益」であり、この利益にかかる税金が法人税です。

法人税を払うのは業績の良い企業だけ?

この「利益」は、すべての企業が確保できるものではありません。

売上よりも上記の「売上のためにかかったお金」が高ければ利益は発生しません。その場合、いわゆる「赤字」として法人税はかからないようになっています。

「経費だから」は法人税を下げるため?

会社の経営者や役員と話していると、御馳走して貰う場合などに、「会社の経費だから大丈夫」という言葉を聞きますね。

一般的にこの場合は、経費よりも売上が高くなって法人税が負担になっているため、経費を使って利益を圧縮し、法人税の課税対象を下げることも意味します(赤字でも損失を繰り越す、などの考え方もありますが、複雑なので今回は割愛します)。

世界と比較した日本の法人税

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出典:財務省「国・地方合わせた法人税率の国際比較」

この法人税法は、どれくらいの税率が利益に対してかかるのかを世界と日本を比較した表を見てみましょう。

上の画像は財務省のデータです。

日本はアメリカのカリフォルニアには及ばないものの、つい最近まで法人税率は30%を超え、表のなかでも高い国々のなかに含まれています。カリフォルニア州はサンフランシスコのシリコンバレーやロサンゼルスがあり、法人税が貴重な収入源となっている一方、日本はこの高い法人税率が、「企業の成長を阻害している」と見られることも多くありました。

法人税の「実効税率」とは?

ここでひとつのキーワードを押さえます。ニュースを見ていると、「法人税の『実効税率』は〇%に」という報道をよく耳にします。この実効税率とは何でしょうか。

実効税率とは、法人税の一種である「事業税」が税金であると同時に「(税務上の)会社の費用」にもなります。

この費用を含めて計算すると、翌年の法人税は単純に利益から算出した法人税額に比べ「下げる」ということがいえます。これが「実行税率」です。

日本の法人税は減少基調

ここまで法人税の大枠をお伝えしました。この税金について、政府は本格的な景気回復を視野に入れ、ここ数年間、「法人税減税」を打ち出しています。

12月11日、日本経済新聞の朝刊で3年連続の法人税引き下げ」が報じられました。実効税率を現在の32.11%から、2016年度に29.97%に引き下げます。その後も2018年度に更に引き下げを行い、29.74%にすることが既に決まっています。

当記事にてお伝えしたように、法人税は利益に対しかかる税金のため、赤字企業にはかかりませんが、ほかの一部税法で適用されている外形標準課税(赤字企業にもかかる税金徴収法)の適用が想定されています。

また、赤字企業が多い中小企業への救済策として、設備投資への固定資産税の減税措置が打ち出されています。

法人税が削減されるとどうなるのか?

ここまで、法人税の削減方向のニュースをお伝えしました。ところで根本的な疑問ですが、法人税が削減されるとどうなるのでしょうか。

答えは、「企業が元気になる」です。単純に利益に対してかかる税金が少なくなるため、企業に残るお金が多くなります。

企業は、想定よりも利益を得られた場合、2通りの方法を取るといわれています。1つは株主や従業員に対して、臨時配当や賞与の形で「還元」をすること。もう1つは、当面企業のなかに「お金を貯金」し、いずれ設備投資や新店開発など、多額の投資が必要になったときにお金をかける、ということです。

この時に貯めるお金を、内部留保といいます。

法人税を減税すると、株主や従業員にお金が回ることになります。そのお金は「臨時収入も入ったし、ちょっとご飯でも食べようか」と市場に廻ります。

そうすると街角のレストランの売上も増え、レストランの従業員にも臨時収入が…といういい流れでお金が「循環」します。この循環により景気が更に上向くことを、政府は見越して法人税に手をつけているのですね。

現在、政府は「1億総活躍社会」と銘打ち、日本の経済活動を更に活発化させGDP(国内総生産)の上昇を打ち出しています。法人税の減税も、ここに密接な関わりを持っているといえます。

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