以前の記事「消費税の軽減税率ってなに?生活にどう影響するの?」でもお伝えした、消費税の軽減税率を巡る議論。

2015年12月13日の新聞各紙朝刊では、「決着」の言葉が躍りました。私たちの暮らしにもとても密接な、「どこまでが増税後の消費税A(10%)で、どこまでが現行税率(8%)なのか」はとても興味があります。ここまでの進捗状況をまとめます。

なぜ「軽減税率」なのか

前提として、なぜ「軽減税率」という話になっているのかを確認します。

消費税は日本全国一律の税金であり、富裕層だからかかる、低所得層だからかからない、というものではありません。一見、そこは平等に見えますね。

ここで、具体的に考えてみましょう。

1,000万円の自動車を購入するとします。富裕層の家庭は出費にまったく問題がないですが、低所得層は多大な資金準備を要します。ローンを組まなければいけないかもしれません。このように、消費税が2%あがることへの「負担感」は、世帯によって大きく違います。「たかが2%」と「されど2%」です。

その「不公平感」をどうするか、という指摘に対し提案されたのが「軽減税率」という施策でした。

当初、一定の世帯に限定してプリペイドカードを配布する案も有力とされたのですが、事務手続きの煩雑さと、届いてない、使い方がわからないなどの対応リスクがあったからでしょうか。「事業者側の扱う税率に差をつける」ことに落ち着きました。

そのうえで、今日の朝刊に目を移してみましょう。

軽減税率の対象となったもの

自民・公明両党は2017年4月の消費税引き上げ時に「8%に据え置く」ものとして、「外食を除く食品全般」とすることで合意しました。当初「酒」や「外食」も軽減税率の対象に含まれると報じられましたが、対象外とすることでまとまったようです。

この結論を踏まえ、軽減税率前提の導入をもう一度振り返ります。

消費税増税が低所得者層に不公平感があるのなら、「低所得者層に重要の高い(よく購入をする)商品を対象としよう」という考え方があります。

それが「食品全般」だったのですね。当初あった、「生鮮食品」とか「加工食品」という枠組みではなくなったのは、それらを区分けすることに膨大な手間がかかると同時に、「食品全般を(軽減税率の)対象とすれば、最も公平感が見いだせる」という結論に辿りついたことを示しています。

財源はどうするのか

当然、消費税増税によって税収増が見込まれていた部分があり、今回の軽減税率導入によって「財源」が必要となります。

ただ、今回の議論では「ほかの財源確保」は先送りされました。来年1月4日は通常国会が始まるため、結論ありきで臨みたかった与党の思惑でしょう。

日経新聞によると必要な財源は約1兆円。2016年末までに、安定的な恒久財源を確保すると確認しています。

一部報道によると、「たばこ税」が1本3円程度(多くの商品では1箱60円程度)の値上げになると報じされています。喫煙者の皆様にとって、最も負担感の増す結果になるのかもしれません。

インボイスとは何か

この軽減税率論議、少し前提の説明が必要になります。

1匹の魚を例に見てみましょう。漁業従事者によって捕獲された魚は問屋にて集められ、小売業に移され、スーパーにて並べられ、一般の家庭に届きます。この各段階でそれぞれ「消費税」が課税されますが、消費税には様々な理由で「納めるべき税が事業者の手元に残る」状況が発生しています。

それを「益税(えきぜい)」といい、1989年の消費税導入時から懸念されてきました。

今回の軽減税率導入につき、「何が対象で、何が対象ではないのか」をわかりやすくするため、「税額票」の導入が議論となりました。この税額票を「インボイス」といいます。これを使用すると、事業者の負担が軽減されます。

ところが、このインボイスの導入によって、今まで各事業者のところに収まった「益税」がガラス張りになり、各事業者にとって「実質的な増税」になる、という懸念が示されました。

事務手続きが簡素化され、公平感は増すのですが、各事業者の多くを占める中小企業が政権与党である自民党の支持母体のため、調整は難航したようです。それでも2021年のインボイス導入を決めた与党の判断には、評価することができるでしょう。

インボイスを導入すれば益税はすぐにゼロとはならないものの、極小化されます。マイナンバー導入による課税制度の強化と組み合わせれば、更なる課税の透明性を高めることもできます。

今後の流れ

今後は実際の消費税導入と、より具体的な軽減税率の枠組みについて話が進みます。

ただ与党内で決めたことには、来年の通常国会で野党各党による反発が生まれそうです。いずれにしても国民に大きな負担となる消費税増税。不公平感の少ない導入を期待したいものですね。

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